展覧会
堀辰雄没後70年 神西清生誕120年 堀辰雄文学入門 君の芸術を、僕は待つてゐる

(追分宿郷土館と共通)
団体は20人以上です。
・乳幼児は無料。
・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を保持する方とその介添者(1名)は、手帳提示により無料となります。
展示内容
本年は堀辰雄没後70 年、堀辰雄の親友である神西清生誕120 年にあたります。神西は詩人、小説家、ロシア文学・フランス文学の翻訳家であり、そして文芸評論家でもありました。堀とは、第一高等学校時代に出会い、二人の交流は堀が亡くなるまで続きます。
昭和3年10 月17 日の神西の日記には、堀が亡くなる夢を見たことが綴られています。夢の中で、神西は「この世で最も愛(を)しいもの」と信じていた堀の「何物にも代へ難い光ある芸術的精神」が失われたことを嘆き悲しみました。夢から覚めて「大きな安心とよろこび」を感じたと書かれたその日の日記は、「君の芸術を、僕は待つてゐる」と結ばれています。
神西は『堀辰雄集』(昭和25 年 新潮社)に「堀辰雄文学入門」というすぐれた解説を残しています。本展では、「堀辰雄文学入門」を手掛かりに、堀辰雄の魅力を紹介します。
神西清「堀辰雄文学入門」(チラシ掲載部分)
これから私は、作家としての堀辰雄の年を逐うての進展や転調のあとを、ほとんど飛石づたいのようにしてたどろうとしている。ひょっとするとそれは、編年史のエスキースのような形になってしまうかもしれないし、また時として小説「以前」の作品の前にも立ちどまることになるかもしれない。それはまたそれで、かえってアンチームな趣きが加わっていいのではないかとさえ思う。 堀辰雄における小説と小説以前との微妙なかかわり合いについては、今後なお一そうの綿密な考察がめぐらされる時があるだろう。そしてその時になって、わが国の現代作家としての彼の革新的な意義が、意外なほど鮮やかに人びとの眼に映りだすに違いない。一めん小説の敬虔な殉教者である堀辰雄は、他面またその枠の果敢な破壊者でもあった。彼はその殉教と破壊とを、文学的思考の名のもとに統合することのできた珍らしい作家の一人なのであった。