設立とあゆみ

設立の趣旨

ここ4半世紀の間に、わが国には、公立・私立の文学館、文学者の記念館が数多く設立され、図書館内の文庫など付帯施設を含めると、現在その数は663にのぼります。しかしながら、これまで文学館・記念館の交流は一部の館だけに限られ、これだけ数多くなった館の相互間の交流はきわめて乏しい状況でした。

相互の交流が増すことにより、収蔵資料のデータの相互検索・利用が可能になれば、利用者にさらに大きな便宜を提供できます。

展覧会・講演会などの催事についても、相互協力により、それぞれの地域において、一層有意義な啓蒙・普及活動が合理的な費用で実施できるはずです。各館がこれまで独自に解決の方法を工夫してきた、文学資料を専門に扱ういわば〈文学館学芸員〉といえる人材の養成・確保、館の運営・維持・管理にいたるさまざまな問題についても、知恵と経験をだしあうことで克服することも可能となります。

そこで、文学館運動をさらに発展させ、利用者へ一層の便宜をはかるためには、数多い文学館・記念館相互の話し合いの場をつくり、互いの問題を相談し、できることから少しずつ相互の交流を試みたらどうか、こうした場をもつことが、既存の館の未来にとっても、将来設立される館のためにも、ひいてはわが国の文学の研究、啓蒙、普及のためにも必須であろうとの考えから、全国文学館協議会が設立されるにいたりました。

設立までの歩み

  • 1994年6月15日、日本近代文学館の呼びかけで、各地の文学館・記念館の代表者の初めての集まりとなる「文学館懇談会」が開かれました。
    この懇談会には25館38名が参加、各館の現状や課題、相互協力のあり方などについて意見を交換すべきであるとの要望が強くだされました。
  • 1994年10月27日、6月の懇談会を受けた第2回目は、全国文学館協議会(仮称)設立準備会として開かれ、22館33名が出席、会則を審議、決定、役員(中村真一郎会長、中村稔幹事長、幹事6名、監事2名)を選出し、文学館どうしの情報交換、相互協力のための常設的組織「全国文学館協議会」が暫定的ながら発足しました。
  • 1995年6月17日、全国各地の文学館・記念館に広く参加を呼びかけ、49館67名の出席を得て総会を開催、協議会が正式に発足しました。
    同総会では、役員を改選、全員の留任が決まったほか、幹事会のもとに展示情報部会、資料情報部会、総務情報部会の3部会を設置し、実質的な活動を行なってゆくことが決まりました。
  • 以後、各年度の総会(毎年6月に開催)で、前年度事業報告・決算、本年度事業計画・予算を審議、役員の選任・改選を行なうなど協議会の運営方針を決定しています。

活動の概要

  • 1995年9月30日、32館55名が出席して各部会が開かれ、自館の抱える問題点、部会に期待するところを出しあい、意見は多岐にわたりましたが、各部会4~5館の世話人館を選んでこれを整理し、具体的な部会活動を進めてゆくことにしました。
  • 1996年3月2日、これを受けて3部会の世話人会が合同で開かれ、幹事会メンバーを含む13館24名が出席、中村稔幹事長(前・会長)が前記9月の3部会で話し合われたことがらを整理した「全国文学館協議会において検討され、要望されている事項(まとめ)」をもとに討議し、会報の発行や、実務を担当する職員の研修を兼ねた交流の会を開くことが決まりました。

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